Tuesday, July 10, 2012

【本日の化学略語】NBE

化学略語の検索サイト→Nanoniele

NBE: norbornene
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=NBE)



いつ使い始めたのかはわからないのですが、大学院の1年の頃には使用経験者になっていたと思います。

ふたを開けるとなんとか飴のような匂いがするのだけは強力な記憶があります。用途はラジカルや有機金属等の活性種の補足剤がメインでした。

この化合物、昇華性があり、購入後放置していると瓶の蓋に結晶が大量にくっついたりしますし、蓋の締めが甘いと中身がなくなってしまいます。固体なので沸点が高いと錯覚してしまいます。

反応前に生成して使用するのですが、昇華性なので常圧での単蒸留は不可なので、減圧下でのtrap-to-trap蒸留を行ってました。

んで、この化合物でも私はやらかしてしまったのです。

trap-to-trap蒸留では蒸留釜と受器の間にブリッジがあります。器具をセットして蒸留を始めるわけですが、楽をしたいので蒸留釜を温風で暖めるわけです。暖めると、蒸留釜の中にある固体のNBDが、気化しながら踊るわけです。気化したNBDは冷やされた受器で固化する、はずなのです。

蒸留釜を暖め続け、釜の中のNBDはきれいになくなりました。蒸留が終わった〜と器具をばらして受器を見ると…NBDが妙に少ないのです。おかしいなあと思うがぱっと見異常は見られない。まあ数回の実験に使える量はあるし、器具はきれいそうだから、と、洗浄用のアルカリバスに器具を放り込んで数時間後…

アルカリバスが妙に臭い。例のなんとか飴のような匂いが強烈にするのです。

器具を取り出してみると…ブリッジが白く濁っている…そう、ここでようやく何が起こったのか、理解できたのでした。つまり、蒸留釜で昇華したNBDは、受器ではなく、ブリッジで固化していたのです。しかも、ブリッジ内部のガラス表面に、境目なく薄く広く、です。たぶんガラスとNBD屈折因子がうまくマッチして、ぱっと見NBDの存在に気づかなかったのでしょう。

この件以降、trap-to-trap蒸留ではブリッジも暖めるよう、気を配るようになりました。


No comments:

Post a Comment