Friday, June 8, 2012

【本日の化学略語】ACE

化学略語の検索サイト→Nanoniele

ACE: acetone
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=ACE)



アセトンの略語があるとは驚きです。

最初に扱ったのは学生実験の後片付けの時。「なんかくっさいけど汚れはよく落ちるぞ」というのが最初の印象でした。

研究室に配属されてからも、洗浄液や冷媒として扱うのがほとんどで、洗浄液としてのアセトンの思い出は、私の場合、ほとんどありません。

冷媒として使ったアセトンには、ひとつ、ヒヤっとした思い出があります。反応容器の冷却は、研究室にひとつだけあったクールパイプとアセトンを組み合わせて行っていましたが、クールパイプが故障したり、使いたい人が複数いる時には、ドライアイスで代用していました。ちなみに、ドライアイスは、研究室に入りたての頃は学外のドライアイス屋(食品販売店かもしれません)に、車で買いに行っていました。

ドライアイスとアセトンで冷媒を作り、フラスコを浸して反応を行った後、不要となったドライアイス入りのアセトンバスからドライアイスを取り出し、冷たいアセトンを室温に戻していたのですが、ちょっとめんどくさくなって、ちょっと冷たいけどまあいいかと、廃液入りのポリタンクにアセトンを廃棄したのです。ところが、ドライアイスがを除ききれていなかったためか、廃棄した直後にポリタンクからCO2となんだかわけのわからない液体とか吹き出してきたのです。幸い吹き出したのは少量で、保護メガネも付けていましたので、特に何事もありませんでしたが、もし大量に吹き出したり、廃液に毒々しいものが大量に入っていたかと思うと、ゾッとします。

このことがあって以降、どんなことがあっても冷媒として使用したアセトンは室温に戻してから廃棄するか、エバポレータで回収するようになりました。怖い怖い


Thursday, June 7, 2012

【本日の化学略語】TEP

化学略語の検索サイト→Nanoniele

TEP: triethyl phosphite
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=TEP)



Michaelis-Arbuzov反応の基質として使用していました。アシルホスホン酸エステルとか、アルキルホスホン酸エステルとか。

先輩たちから「くっさいど〜」と脅されていたので、ある程度の覚悟はしていましたが、実際にその匂いを嗅いでみると、えげつないこと、えげつないこと。ただ、揮発性は低くないので、少しがまんしていれば匂いはなくなります。

Michaelis-Arbuzov反応、過去に亜リン酸トリエチルとヨウ化エチルと反応させてたことがあったのですが、エチルホスホン酸とともにヨウ化エチルが生成し、これがまた亜リン酸エチルと反応する、ということで、反応容器の中にどちらを先に入れておいてどちらを後からゆっくり加えればいいのか、当時の私はビクビクしながら実験を進めていました(間違えると、反応が暴走する)。臭化物だと反応自体が遅いのでより安全ではあるのですが。

順番も大事なのですが、ヨウ化アルキルの場合は反応性の高さ故ゆっくり加えることも大事だったりします。昔、一度だけ反応を暴走させました。亜リン酸トリエチル入りの滴下漏斗のコックをうっかり前開にしてしまったのです。反応はすぐに暴走を始め、容器の隙間から勢い良く反応混合物が噴出し、実験室にミストが充満する結果に。

ミストがドラフトに吸い込まれるまで一旦実験室から退避したので、人体的には何事もありませんでしたが、あの時の実験室の臭さは今でも記憶に残っています。



Wednesday, June 6, 2012

【本日の化学略語】GBL

化学略語の検索サイト→Nanoniele

GBL: γ-butyrolactone
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=GBL)




ケテンシリルアセタールの異性化の研究を行っていた時、GBLシリルエノラートの合成に使用していました。

GBLをLDAと反応させてリチウムエノラートとした後に、TMSClでシリル化すると、環状のケテンシリルアセタールが生成します。これを使って、いろいろ検討してました。

GBL、冷暗所で保存していても、少しずつ重合していくので、使いたい直前に購入してすぐに蒸留する必要があります。でも、研究室に使い残しがあると、それを使わざるを得ず、しかも重合が進んでいるものだと欲しいモノマー量を確保できないとか、少々フラストレーションの溜まる化合物だったりします。

私が学生の頃所属していた研究室の、お隣の高分子系の研究室では、希土類錯体を使ってGBLのリビング重合を行ってました。源さん。


Tuesday, June 5, 2012

【本日の化学略語】DEHP

化学略語の検索サイト→Nanoniele

DEHP: di-ethylhexyl phthalate
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=DEHP)




実験化学者にとっては「悪魔の化合物」。この化合物を意図的に実験に使ったことは「ありません」。

とある有機合成を行っていて、TLC上に紫外吸収のあるスポットが見つかり、シリカカラムで精製し、NMRスペクトルを測定すると、たまにこの化合物だったりすることがあります。この化合物が得られると、その実験はほぼ間違いなくボツです。

ボツなのですが、このテの経験をするか、周囲にそのような経験をする/した人がいないと、DEHPのドツボにはまったことになかなか気づかないでしょうし、NMRスペクトルがDEHPであると判断するまでに、長い時間を要するかもしれません。紫外吸収のない化合物を反応に使用していても、こいつが現れるくらいですから。

このDEHP、排気チューブ等に、可塑剤として添加されている化合物なのです。何らかの原因でチューブから溶け出し、反応容器等に入り込んでしまうと、上記のようなことが起こってしまうのです。

DEHPが入ってこないよう、極力注意を払うことはもちろんですし、万が一入ってしまった場合のことを考えて、DEHPのスペクトルデータを収集しておくことも必要です。努力が無駄にならないために。

Monday, June 4, 2012

【本日の化学略語】HMDS

化学略語の検索サイト→Nanoniele

HMDS: 1,1,1,3,3,3-hexamethyldisilazane
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=HMDS)




初めて使用したのは大学院修士2年の時でした。といっても、有機合成に使ったわけではありませんでした。

使用目的はGCカラムのシリル化。

新反応の開拓をしていて、GCで反応の進行具合をチェックしていましたが、GCピークがなんだか幅広いので(厳密に言うとテーリング)、もしかしたらGCカラムの劣化かもしれないと、HMDSでGCカラムの固定相のシリル化を試みたのです。結果は、全く改善されず。改善されなかった理由は…忘れました。

当時のGCではガラスカラムを使用しており、GCピークが妙なことになってきたら、充填剤を交換していました。交換直後はGCオーブンを高温に設定してカラムからの「ゴミ出し」を長時間かけてする必要があったので、そのめんどくささを回避するために、まあ試しにという流れだったと思います。HMDSで改善されなかったので、結局、通常通りの充填剤交換となりました。

ガラスカラムへの固定相の充填は、アスピレータか二連球ゴムで空気の流れを作りながら、電動のマッサージ機みたいなものでガラスカラムに振動を与える、という割と簡単な作業でしたが、慣れないと直径ミリ程度のガラスカラムを折ってしまうこともあり、折ると充填剤抜き出し&バーナーで直管つなぎという作業が加わります。

当時、比較的高価なガラスカラムの予備は研究室にはほとんどなく、それ故にGCピークの異変はシリル化〜直管つなぎまでのトホホな作業量の潜在リスクを孕んでいたのです。

Friday, June 1, 2012

【本日の化学略語】PEG

化学略語の検索サイト→Nanoniele

PEG: poly(ethylene glycol)
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=PEG)

PEGを使うようになったのは、大学院修士2年の時だったと思います。

当時、オイルバスの油にはシリコーン油を使っていましたが、高価であり、あまら加熱しないのであれば他の油でもいいのではという話になり、PEGが候補に挙がりました。しばらくはPEGを使っていたのですが、もっと安価ななのがないかとなり、天ぷら油を使うようになりました。天ぷら油であれば、汚染されていないものは固めて廃棄するだけで良いので、後処理も楽でした。ただ、汚染された天ぷら油は廃油として業者さんに処理してもらわなければならいのですが、シリコーン油と混ざらないので、ちょっと厄介でした。まあ、混ぜなければ良いのですが。

…ええっと、PEGの話でした。実験ではPEGはピリジン系配位子合成の溶媒として使いました。2-アセチルピリジンとごにょごにょをPEG中で混ぜて、混合物を水に注いで固体を出し、ろ過して取ってエタノールかなにかで再結晶というものだったと記憶しています。他、発光材料の分散材として試したこともありました。使ってたPEGは確か分子量は300くらいものだったかと。

PEGを反応させて何かにするとかはやってないなぁ。