TBA: tert-butyl alcohol
実験ではプロトン源として、時には溶媒として使用しました。融点は25℃くらい。
気温の低い時には固めってますので、薬サジのたぐいで試薬瓶から取り出すのがやりやすい。しかしながら、大気に触れさせたくない場合には、シリンジ等でTBAをはかり取る必要があるのです(グローブボックスの中で扱うのは嫌だなぁ、プロトン源だし。)。
蒸留してストックしてある固体を暖めて液体とし、予め暖めておいた注射針付のシリンジで抜き取り、反応等に使用するフラスコへ移すという、ちょっとやっかいな手順を踏まなければいけないという…。モタモタして注射針を冷やしてしまうと、TBAが固化して針が目詰まりを起こすのです。
あ、試薬瓶が大きく、暖めるのが大変だからと、一部だけ液体になったTBAをピックアップするのアレですから。パピコの最初と最後の味が違うというやつ。
nanoniele
Monday, March 24, 2014
Thursday, March 20, 2014
【本日の化学略語】FL
FL: fluorene
NBSで臭素化したり、n-ブチルリチウムでリチオ化して求電子剤と反応させたりしてました。
NBSの臭素化では、2-ブロモフルオレンと2,7-ジブロモフルオレンの両方が生成してしまうのです。2,7-ジブロモフルオレンは過剰量のNBSを使えば簡単に得られるのですが、当時欲しいなと思っていたのは2-ブロモフルオレン。
ひたすら再結晶です。急いで欲しいわけではなかったので(急用なら市販品を購入するつもりだった)、大量合成したものから、暇な時間を使ってコツコツと再結晶してました。
FL、この略号が使われるのが偶然なのかはわかりませんが、発光材料としてこの骨格を含む化合物がよく合成・使用されてますが、FLそのものは酸化されてフルオレノンになったりすしますし、特に高分子化した時には溶解性が悪くなりますので、アルキル化等して酸化部位を塞いだり脂溶性を高めたり、といろいろ工夫がなされたり。
NBSで臭素化したり、n-ブチルリチウムでリチオ化して求電子剤と反応させたりしてました。
NBSの臭素化では、2-ブロモフルオレンと2,7-ジブロモフルオレンの両方が生成してしまうのです。2,7-ジブロモフルオレンは過剰量のNBSを使えば簡単に得られるのですが、当時欲しいなと思っていたのは2-ブロモフルオレン。
ひたすら再結晶です。急いで欲しいわけではなかったので(急用なら市販品を購入するつもりだった)、大量合成したものから、暇な時間を使ってコツコツと再結晶してました。
FL、この略号が使われるのが偶然なのかはわかりませんが、発光材料としてこの骨格を含む化合物がよく合成・使用されてますが、FLそのものは酸化されてフルオレノンになったりすしますし、特に高分子化した時には溶解性が悪くなりますので、アルキル化等して酸化部位を塞いだり脂溶性を高めたり、といろいろ工夫がなされたり。
Wednesday, March 19, 2014
【本日の化学略語】ONP
ONP: o-nitrophenol
芳香族求核置換反応を検討するための基質の前駆体として使用してました。
芳香族化合物というのは、一般的には求電子置換反応が起こり、求核置換反応は起こりにくいと言われていますが、芳香環上にニトロ基等があると、求核置換反応が起こることがあります。脱離基はClやF等。
んで、私はp-トルエンスルホニルオキシ基(p-C6H4SO3)で検討していたのですが、これではダメで、ちょっとゴニョゴニョと工夫したケースについて、実験を進めてました。求核剤がアルコールの場合とアミンの場合で反応の選択性が違ったり、また、OH基とNO2基の位置が結構重要だったり、得られたニトロ化合物をアミンに還元して何かに誘導したりと、いろいろやってました。
何年前だっけな。
芳香族求核置換反応を検討するための基質の前駆体として使用してました。
芳香族化合物というのは、一般的には求電子置換反応が起こり、求核置換反応は起こりにくいと言われていますが、芳香環上にニトロ基等があると、求核置換反応が起こることがあります。脱離基はClやF等。
んで、私はp-トルエンスルホニルオキシ基(p-C6H4SO3)で検討していたのですが、これではダメで、ちょっとゴニョゴニョと工夫したケースについて、実験を進めてました。求核剤がアルコールの場合とアミンの場合で反応の選択性が違ったり、また、OH基とNO2基の位置が結構重要だったり、得られたニトロ化合物をアミンに還元して何かに誘導したりと、いろいろやってました。
何年前だっけな。
Tuesday, March 18, 2014
【本日の化学略語】TBuA
TBuA: tributylamine
実験での主な使用目的は塩基でした。塩基として以外に使用したことはなかったような。
例えばMizoroki-Heck反応では塩基としてトリエチルアミンを使用するのですが、トリエチルアミンの沸点は89℃近く。この温度では、炭素−臭素結合がパラジウム触媒で切断されにくく、臭化物の反応には使用できない。ということで、より沸点の高い(214℃)TBuAを、125℃くらいの反応に使用していました。
反応温度が高いですから、反応は確かに進行してくれる。ただ、TBuAの沸点が高いというメリットは、そのままデメリット。反応後に生成物を分離しようとして、TBuAがなかなか除ききれない、ということも。酸処理でTBuAをアンモニウム塩にして水洗浄にかけても、どうしても有機相に残ってしまう…。
トリプロピルアミンは沸点156℃、エチルジイソプロピルアミンは127℃と他にもいろいろありますが、お値段と相談です。
実験での主な使用目的は塩基でした。塩基として以外に使用したことはなかったような。
例えばMizoroki-Heck反応では塩基としてトリエチルアミンを使用するのですが、トリエチルアミンの沸点は89℃近く。この温度では、炭素−臭素結合がパラジウム触媒で切断されにくく、臭化物の反応には使用できない。ということで、より沸点の高い(214℃)TBuAを、125℃くらいの反応に使用していました。
反応温度が高いですから、反応は確かに進行してくれる。ただ、TBuAの沸点が高いというメリットは、そのままデメリット。反応後に生成物を分離しようとして、TBuAがなかなか除ききれない、ということも。酸処理でTBuAをアンモニウム塩にして水洗浄にかけても、どうしても有機相に残ってしまう…。
トリプロピルアミンは沸点156℃、エチルジイソプロピルアミンは127℃と他にもいろいろありますが、お値段と相談です。
Monday, March 17, 2014
【本日の化学略語】1-NpCHO
1-NpCHO: 1-naphthaldehyde
この化合物、酸化剤として実験で使用していました。
一般には、アルデヒドは還元剤として機能し、機能した後はカルボン酸になる、というのが教科書的ではありますが、酸化剤として機能し、機能した後はアルコールというのもあります。Meerwein-Ponndorf-Verley還元とかですね。
私が博士課程の学生として研究していた時に、アルジミンを希土類金属で還元して、適当な酸化剤を作用させるとジイミンが生成する実験を行っていました。最初は酸素やキノンを試していたのですが、あるときヤケクソでというわけではなかったのですが、p-トルアルデヒドをフラスコに投入すると、かなりの収率でジイミンが生成したのです。なんでp-トルアルデヒドかというと、ベンズアルデヒド由来のアルジミンを反応させてたからなのですね。生成物に由来の区別がつくように、と。
p-トルアルデヒドでうまくいくのなら、他のアルデヒドを試そうということで、ここからはラボのメンバーにバトンタッチ。1-NpCHOがベストなのが明らかとなり、基質の適用範囲の検討と、反応機構の解明のための実験を行い、論文として発表となりました。
この化合物、酸化剤として実験で使用していました。
一般には、アルデヒドは還元剤として機能し、機能した後はカルボン酸になる、というのが教科書的ではありますが、酸化剤として機能し、機能した後はアルコールというのもあります。Meerwein-Ponndorf-Verley還元とかですね。
私が博士課程の学生として研究していた時に、アルジミンを希土類金属で還元して、適当な酸化剤を作用させるとジイミンが生成する実験を行っていました。最初は酸素やキノンを試していたのですが、あるときヤケクソでというわけではなかったのですが、p-トルアルデヒドをフラスコに投入すると、かなりの収率でジイミンが生成したのです。なんでp-トルアルデヒドかというと、ベンズアルデヒド由来のアルジミンを反応させてたからなのですね。生成物に由来の区別がつくように、と。
p-トルアルデヒドでうまくいくのなら、他のアルデヒドを試そうということで、ここからはラボのメンバーにバトンタッチ。1-NpCHOがベストなのが明らかとなり、基質の適用範囲の検討と、反応機構の解明のための実験を行い、論文として発表となりました。
Friday, March 14, 2014
【本日の化学略語】GBL
GBL: γ-butyrolactone
反応基質の原料として使用していました。
GBLをリチウムジイソピルアミド(LDA)でリチウムエノラートとした後、クロロトリメチルシランと反応させてケテンシリルアセタールを合成してました。
向山型アルドール反応や、ケテンシリルアセタールのシリル基の転位反応を検討していたのを憶えています。
このGBL、合成上の厳密性が要求されなければ、購入したものをただちに使用して問題ないのですが、何年も前に購入してラボに保管されていたものを使ったりすると、ドロドロしたわけのわからないものになっていた等、実験が失敗することが多々あり、実際私も経験しました。失敗したら新しい薬品発注すればいいや〜、とか…失敗するのわかってるなら急がば回れで新品使えばいいのに、です。
長期保存されたものは、重合してるんですよね。場合によっては完全に重合して瓶の中身が固体だったり。それはそれで、あ、これアカンやつ、となってよけいな実験しなくてすむわけですが。
…というように、新鮮なものを使え、という、研究のキホンを身をもって示してくれるのが、このGBLです。
反応基質の原料として使用していました。
GBLをリチウムジイソピルアミド(LDA)でリチウムエノラートとした後、クロロトリメチルシランと反応させてケテンシリルアセタールを合成してました。
向山型アルドール反応や、ケテンシリルアセタールのシリル基の転位反応を検討していたのを憶えています。
このGBL、合成上の厳密性が要求されなければ、購入したものをただちに使用して問題ないのですが、何年も前に購入してラボに保管されていたものを使ったりすると、ドロドロしたわけのわからないものになっていた等、実験が失敗することが多々あり、実際私も経験しました。失敗したら新しい薬品発注すればいいや〜、とか…失敗するのわかってるなら急がば回れで新品使えばいいのに、です。
長期保存されたものは、重合してるんですよね。場合によっては完全に重合して瓶の中身が固体だったり。それはそれで、あ、これアカンやつ、となってよけいな実験しなくてすむわけですが。
…というように、新鮮なものを使え、という、研究のキホンを身をもって示してくれるのが、このGBLです。
Thursday, March 13, 2014
【本日の化学略語】MA (maleic anhydride)
MA: maleic anhydride
市販品は白色の固体。反応の基質として実験に使用したことがあります。
反応ですが、ひとつはDiels-Alder反応。学部3年の最初の学生実験で、シクロペンタジエンと反応させ、付加体を再結晶で精製するというものでした。その後、濃硫酸と反応させたのですが、生成物なんだっけな…忘れてしまいました。
もうひとつの反応はカルベン補足。ジアリールチオケトンと希土類金属を反応させるとカルベンが発生するのではと、補足剤としてMAを選択したのでした。期待したシクロプロパン誘導体は生成せず、なんだかわけのわからないものになってしまいましたが…。カルベンにも一重項ものとか三重項ものとか、電子リッチなものとかそうでないものとかいろいろありますから、カルベン補足剤も適宜選択しないといけなかったわけで。
MAの消化精製は見ていて楽しかった。
市販品は白色の固体。反応の基質として実験に使用したことがあります。
反応ですが、ひとつはDiels-Alder反応。学部3年の最初の学生実験で、シクロペンタジエンと反応させ、付加体を再結晶で精製するというものでした。その後、濃硫酸と反応させたのですが、生成物なんだっけな…忘れてしまいました。
もうひとつの反応はカルベン補足。ジアリールチオケトンと希土類金属を反応させるとカルベンが発生するのではと、補足剤としてMAを選択したのでした。期待したシクロプロパン誘導体は生成せず、なんだかわけのわからないものになってしまいましたが…。カルベンにも一重項ものとか三重項ものとか、電子リッチなものとかそうでないものとかいろいろありますから、カルベン補足剤も適宜選択しないといけなかったわけで。
MAの消化精製は見ていて楽しかった。
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