この化合物、酸化剤として実験で使用していました。
一般には、アルデヒドは還元剤として機能し、機能した後はカルボン酸になる、というのが教科書的ではありますが、酸化剤として機能し、機能した後はアルコールというのもあります。Meerwein-Ponndorf-Verley還元とかですね。
私が博士課程の学生として研究していた時に、アルジミンを希土類金属で還元して、適当な酸化剤を作用させるとジイミンが生成する実験を行っていました。最初は酸素やキノンを試していたのですが、あるときヤケクソでというわけではなかったのですが、p-トルアルデヒドをフラスコに投入すると、かなりの収率でジイミンが生成したのです。なんでp-トルアルデヒドかというと、ベンズアルデヒド由来のアルジミンを反応させてたからなのですね。生成物に由来の区別がつくように、と。
p-トルアルデヒドでうまくいくのなら、他のアルデヒドを試そうということで、ここからはラボのメンバーにバトンタッチ。1-NpCHOがベストなのが明らかとなり、基質の適用範囲の検討と、反応機構の解明のための実験を行い、論文として発表となりました。
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