ベンゼン誘導体は特有の香りがするものが多いですが、この化合物も少量で強く甘ったるい匂いがします。
私の主な実験用途は、反応探索のモデル基質でした。
この化合物に炭素求核剤を反応させ、(ヒドリド還元ではなく)二電子還元でアミンを合成する反応と、o-C-H結合活性化によるベンゼン環への官能基導入でした。
前者はうまくいきましたが、後者は収率が伸び悩んだのに加え、生成物の構造もこれでいいのかなあという怪しさもあり結局お蔵入り。20年経ってから、他の研究グループが同じタイプの反応を報告してました。
当時所属していたラボの主要な研究テーマがC-H結合活性化であり、私は別のテーマの研究をしていたところで、うまく融合できるのではと淡い期待を抱きつつ実験を進めていたのを憶えています。
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