Tuesday, March 11, 2014

【本日の化学略語】BN (benzonitrile)

BN: benzonitrile



ベンゼン誘導体は特有の香りがするものが多いですが、この化合物も少量で強く甘ったるい匂いがします。

私の主な実験用途は、反応探索のモデル基質でした。

この化合物に炭素求核剤を反応させ、(ヒドリド還元ではなく)二電子還元でアミンを合成する反応と、o-C-H結合活性化によるベンゼン環への官能基導入でした。
前者はうまくいきましたが、後者は収率が伸び悩んだのに加え、生成物の構造もこれでいいのかなあという怪しさもあり結局お蔵入り。20年経ってから、他の研究グループが同じタイプの反応を報告してました。

当時所属していたラボの主要な研究テーマがC-H結合活性化であり、私は別のテーマの研究をしていたところで、うまく融合できるのではと淡い期待を抱きつつ実験を進めていたのを憶えています。

Monday, March 10, 2014

【本日の化学略語】DMPU

DMPU N,N'-dimethylpropyleneurea





発がん性のあるHMPA (hexamethylphosphoramide)の代替として試したことがよくありました。
HMPAの代替としては、DMI (1,3-dimethyl-2-imidazolidinone)やTMU (1,1,3,3-tetramethylurea)等の尿素系の化合物があり、DMPUもその中のひとつです。高極性の非プロトン性溶媒の他、金属配位子としても機能します。

THF (tetrahydrofuran)中での電子移動を伴う反応で、これらの化合物の添加の効果を調べたことが何度かやりましたが、最も良好だったのがHMPA、次いでDMI, DMPU, TMUでした。TMUに至っては、添加する効果がほとんどないケースもしばしば。HMPAの代替としては、DMPUよりもDMIの方が良さそうです。エーテル抽出&水洗浄で、有機層から水層へ逃げやすいのもDMIでした(HMPAはもっと逃げてくれます)。

逆に考えれば、DMPUは抽出剤として使えるのではないか、とも思ったりもします。

Friday, March 7, 2014

【本日の化学略語】AN (anthracene)

AN: anthracene



紫外光をあてるとペカーっと光る化合物です。このもの自体を材料に何かすることはありませんでしたが、「原料」としたことはありました。ラボで長期間眠っているものは酸化されてるかもしれないので、面倒でも再結晶してから使うが吉。

私がこの化合物を使ったのは、臭素化でした。ジメチルホルムアミド中でN-ブロモコハク酸イミドと反応させて9-ブロモアントラセン、下の画像の左側のほうのを合成してました。混ぜて放ったらかし、適当なところで抽出。



混ぜて放ったらかしの反応ですから、9.10-ジブロモアントラセン、上の画像の右側のも副生するのです。少々混ざってても次のステップには差し支えなかったのですが、別途使うこともあるかもと、再結晶。一度の再結晶では右のと左のとをきれいに分離できないので、純度別に複数のフラスコにわけて再結晶。結晶と母液の純度をそれぞれチェックして、相応の純度のものが入っているフラスコにそれぞれ移動、こいつをまた再結晶…。と、多段式で精製してました。加熱して飽和溶液にして室温冷却、というルーチンワークでしたから、隙間時間に可能なことでしたので(日数はかかりますが、それでも早い段階で少量は高純度品が確保できました)、作業負荷は低かった…と記憶してます。

Thursday, March 6, 2014

【本日の化学略語】Val

Val: valine



研究室に配属されて初めて使ったアミノ酸がValでした。塩酸塩だったと思います。

ペプチド合成とかではなく、エステル化した後にケトンと反応させてイミンとし、希土類化合物と反応させてました。光学活性な希土類金属錯体が生成し、単離できるのではと期待したのですが、結局原料回収。

研究室内での希土類金属錯体の結晶化のノウハウが蓄積し始めた頃で、なんでもかんでも結晶化を試みていました。当時はもっといいインフラがあればと思ったのですが、ぜいたくな悩みでした。研究の場を移るに従い、あのインフラが最高だったのだと思うようになったのです。

Wednesday, March 5, 2014

【本日の化学略語】An (anisyl)



(画像はAnH, anisoleです)

Anは3種類ありますが、特に記載することがなければ、p-anisyl基。

An基を含む化合物はいろいろ使用しました。少量でも匂うものが多かった記憶が。
An基を含む化合物の反応性が他の置換基を含むものとどう違うかを調べるのが主な実験の目的でした。Friedel-Craftsタイプの反応の位置選択性とか、An-ハロゲン結合の酸化的付加やAnCHOへの求核剤付加・電子移動等、多様な反応のテストとかにです。

An基中のメトキシ基が電子供与性なので、フェニル基と比較してベンゼン環の電子密度が高くなること、ベンゼン環を通して官能基の電子密度が同じく高くなることが、反応での反応性にどう影響を与えるか…。そういうのを調べてました。

反応以外では、π共役化合物の発光特性、例えば発光ピーク波長や発光効率が、An基中のメトキシ基の有無でどう変わるかを見ていましたし、溶解性についても検討したり、と。
メトキシ基て小さめの置換基なのですが、溶解性の影響が大きかった。これは、実験やってて驚きでした。

Tuesday, March 4, 2014

【本日の化学略語】BZP

BZP: benzophenone



もお世話になった有機化合物のひとつです。

主な用途は溶媒の乾燥。この化合物と金属ナトリウムと乾燥させたい溶媒を蒸留釜の中で混合・攪拌し、場合によっては加熱・還流させたりすると、ベンゾフェノンとナトリウムが反応して、脱水力を持つナトリウム−ベンゾフェノンケチルやナトリウム−ベンゾフェノンジアニオンとなるのです。テトラヒドロフラン(THF)の場合は、濃い紫色になるまでじっくりと反応させてました。青だと乾燥がイマイチなんですよね。

最近ではもっといい乾燥剤がありますし、ナトリウムは扱いがアレなので、使われなくなりつつある…かな。

ベンゾフェノンには独特の香りというか匂いがありますが、ベンゾフェノン臭のするグッズ、Francfrancで見つけました。さきっちょに細いナイロンのような糸が束ねてある、Ziboのロゴが刻まれてるホコリとり。

株主優待で買ってもう4年は経つと思うんですが、まだ香りがします。

Monday, March 3, 2014

【本日の化学略語】MTBE

MTBE: methyl tert-butyl ether



ガソリンの添加剤として一時期脚光を浴びたこともあった化合物。
実験用途としては、引火性の高いジエチルエーテルの代用として、抽出溶媒として使用したことがあります。動物実験での発ガン性が認められているので、扱いにはそれなりの対策が必要。

使用感ですが、ジエチルエーテル(沸点35℃)よりも沸点が高い(55℃)いものの、抽出溶液の濃縮に不便を感じることはありませんでした。ただ、MTBEは極性があまり高くないようで、水層からの抽出力はジエチルエーテルに劣ってました。炭化水素のヘキサンやトルエンと大差ないかも。

個人的に困ったのが、MTBEの除去。濃縮や再結晶後にNMR測定を行うと、MTBE由来のシグナルが。シングレットがピコーンと。tert-ブチル基があるので、よく見えるんです。