Tuesday, April 17, 2012

【本日の化学略語】TBDMSCl

化学略語の検索サイト→Nanoniele

TBDMSCl: tert-butyldimethylchlorosilane
(http://www.nanoniele.jp/cgi-bin/nanoniele.cgi?inputsite=weblog&keyword=TBDMSCl)



初めて使用したのは、酢酸エチルのtert-ブチルジメチルシリルエノラートを合成したときでした。

取り扱いにほろ苦い思い出のある液体のTMSClとは異なり、TBDMSClは固体で空気中でも安定。合成したシリルエノラートも、抽出後の希塩酸での洗浄にも十分に耐えられるものでした。このtert-ブチルジメチルシリルエノラート、酢酸エチルのトリメチルシシリルエノラートの合成に苦労している合間に合成したもので、研究で体験した、初めての「スタートが遅くてゴールが早かった」例でした。

安定なtert-ブチルジメチルシリルエノラートですが、サマリウムアルコキシド触媒による向山型アルドール反応を試したところ、望んでいた生成物は全く得られませんでした。とりあえず何らかの化合物が生成していることが、GCで確認できましたので、MPLCでせっせこと確認、NMRを測定するとシグナル多数…GCでは不純物らしいものは確認できないのですが…悩みました。

当時の助手さんがスペクトルを見て、「おお、アルコールのTBDMSエーテルじゃ」と一言。スペクトルは複雑だし、レポート書くためにはちゃんと構造解析しなければならないしで、トホホな消火試合をこなしたのでした。

でも、基質(アルデヒド)から何が生成したのかは、追いかけてなかったのです。

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