EDB: ethylene dibromide
実験での主な使用目的は、Grignard反応剤を調整する時の、金属マグネシウムの表面活性化でした。
教科書的には、Grignard反応剤は有機ハライドと金属マグネシムをエーテル中で混合するとできるのですが、使用する金属マグネシウムの表面が酸化されていたり、エーテルや有機ハライドに水分が含まれていたり等、様々な要因により有機ハライドと金属マグネシウムが反応しない事態が生じます。最悪なのが、反応が突然始まりかつ急速に進行して、エーテルが反応熱を吸収しきれないケース。反応の制御に失敗し、火災等の事故につながりかねません。
これを避ける策として、予め金属マグネシウムと少量のダミーの有機ハライドをエーテル中で混合して反応させることにより、マグネシウムの酸化皮膜をはがして金属面をむき出しにしておくことにより、有機ハライドとマグネシウムの反応をスムーズにする、というのがあります。そのダミーの有機ハライドのひとつが、このEDBというわけです。
この手法、マグネシウムだけでなく、希土類金属でも同様でして、希土類ではヨウ化アルキル、例えばヨードメタンや1,2-ジヨードエタンが使用されます。
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