Michler's ketone: 4,4'-bis(dimethylamino)benzophenone
希土類金属との反応性を調べるための実験で使ってました。光反応の増感剤や色素の原料として知られる化合物です。
類似の化合物でもっと頻繁に扱っていたのが、この化合物の酸素原子が硫黄原子に置き換えられた、ThioMichler's ketone。市販品は濃い紫色の針状結晶でしたでしょうか。試薬棚にストックされていたものをラボでよく使われる手法で希土類金属を反応させ、生成した化合物を分離すると淡黄色の結晶がたくさん採れたのです。
おっしゃ採れたど〜と、早速NMR測定用のサンプルを作るべく、チューブの中に結晶を放り込み、重クロロホルムを加えると…あれ?深緑色…。
まあいいやと測定したのですが、シグナルは全く現れず。溶液を取り出し、濃縮・乾燥させても深緑のまま。ああ、壊れてしまったのかと、クロロホルムはいかんねぇと。
んで、重ベンゼンを溶媒に加えると、溶液は淡黄色のまま。NMR測定できました。生成物はtetrakis[4-(dimethylamino)phenyl]ethylene。カルベンできてホモカップリングというわけです。
Michler's ketoneとは反応性が違うということで、新しい研究テーマとなったのでした。
後でわかったのですが、ジメチルアミノ基があるThioMichler's ketoneを試したのが幸運でした。ジメチルアミノ基のない場合は反応が少し複雑。
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